まだテスト中です。運用環境への適用は避けてください。
1. 目的
Shibboleth IdPクラスタを構成したときに、stateless/memcached方式では、ログイン処理中(ログイン画面表示→ID/パスワード入力→チェック→認証済みcookie設定)にノードを移動することが問題となる。独自ホスト名を用いてこれを防ぐ方法を提示する。
- ロードバランサが不要に!
2. マシン構成
以下は2ノードでの構成を示すが、原理的にはN台で可能である。
- entityID: https://idp.example.ac.jp/idp/shibboleth
- ノード1: 以下の2つのホスト名を割り当てる
1.idp.example.ac.jp
idp.example.ac.jp - ノード2: 以下の2つのホスト名を割り当てる
2.idp.example.ac.jp
idp.example.ac.jp
ノード1およびノード2で、上記entityIDでサービスするShibboleth IdP(2.3.6)を構築する。鍵および証明書は同一のものを用い、メタデータは上記entityIDを学認メタデータテンプレートに当てはめた標準的なもの(独自ホスト名を含まない)とする。
また、stateless clustering方式もしくはmemcached方式でクラスタ構成としておくこと。
各ノードのサーバ証明書には、2つのホスト名をsubjectAltNameに記載した1枚の証明書を使うと良い。ただし携帯電話でアクセスする可能性がある場合は別々の証明書とする(CNしか見ない実装があるため)。
別々の証明書を使う時はName-based virtual hostでなくIP-based virtual hostを使うこと。
3. 設定
各ノードで以下の設定を行う。
- /usr/java/tomcat/conf/Catalina/localhost/idp.xml
に以下の内容のファイルを作成する。もしすでにidp.xmlが存在する場合は、sessionCookieNameおよびsessionCookieDomainを追加する。<Context sessionCookieName="JSESSIONID" sessionCookieDomain=".idp.example.ac.jp" />
- /usr/java/tomcat/webapps/idp/WEB-INF/web.xml
のcookieDomainがコメントアウトされている行を探し、コメントアウトを解除した上で以下のように修正する。<!-- --> <context-param> <param-name>cookieDomain</param-name> <param-value>.idp.example.ac.jp</param-value> </context-param> <!-- -->
- /etc/httpd/conf.d/ssl.conf
を以下のように修正する。ServerName 1.idp.example.ac.jp:443 ← 当該ノードの独自ホスト名を記述
UseCanonicalName On ← Onにしていない場合は追加...
ProxyPass /idp ajp://localhost:8009/idp
ProxyPassReverse /idp/ https://idp.example.ac.jp:443/idp/ ← ProxyPassの行の後に追加
4. 検証
各ノードでTomcatおよびhttpdを再起動し、それぞれにアクセスし以下を確認すること。
- cookieが.idp.example.ac.jpドメインとしてストアされること。
- ログイン処理中のリダイレクト/POST先URLがノードの独自ホスト名を使っていること。(この結果、ログイン処理の途中で別ノードに遷移することがなくなる)
当然ながらログイン処理中にノードが落ちれば続行不可能になるが、それはロードバランサを置いた場合も同じ。
5. 注意点
- ユーザに見えるログイン画面のURLが独自ホスト名になる。
- ブラウザにパスワードを記憶させる場合、各独自ホスト名に対して記憶させる必要がある。